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会長挨拶

学会長就任のご挨拶

日本中性子捕捉療法学会会長 中村 浩之

 2015年9月に開催された総会で、平塚純一・前会長の後を受けて新会長を拝命いたしました。どうぞよろしくお願いします。

 ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)は、およそ80年前にLocherによりその治療法が提案され、1951年Sweetらは脳腫瘍患者に対する臨床研究を開始しました。しかし、期待された効果を得ることは出来ませんでした。用いたホウ素化合物のがん細胞集積性の低さが大きな原因と考えられています。その17年後の1968年に畠中坦先生らが初めて脳腫瘍の治療に成功しました。畠中坦先生は、アメリカに留学中Albert H. Soloway先生との共同研究により開発されたホウ素薬剤BSHを用いました。一方、1987年には三嶋豊先生らがアミノ酸誘導体であるBPA を用いた悪性黒色腫の治療に成功し、それ以降、暫くは脳腫瘍と悪性黒色腫を対象に臨床研究が行われました。そうした状況が大きく変わったのは、2001年の頭頸部がんへのBNCTの成功であります。この成功は、BPAの登場、FBPA PETの開発、BNCT放射線生物学研究の進展などを基盤としたものでした。それ以降、様々ながんへの適応拡大研究が日本をはじめ世界中で進められていることは、会員の皆様の良く知るところであります。

 BNCTは医学、生物学、化学・薬学、物理工学など諸領域の分野融合的治療法であることから、各研究分野ならびにグループの意見交換の場として1997年8月に中性子捕捉療法セミナーが吉野和夫先生によって開催されたのをきっかけに、参加者の中から、BNCTに関する研究をさらに推進するための研究会の設立を望む声が高まりました。このような背景から、2003年8月に小野公二先生を会長として日本中性子捕捉治療研究会が設立され、2004年には名称を研究会から日本中性子捕捉治療学会に変更し、現在に到っています。第2代会長に切畑光統先生、第3代会長には平塚純一先生が就任され、本学会の発展にご尽力されてきました。

 2010年に世界初のBNCT用加速器中性子源が我が国で開発されて以来、BNCTはそれまでの原子炉を用いた治療研究から目まぐるしく変貌しつつあり、この数年が大きな転換期になろうとしております。加速器BNCTの治験では、脳腫瘍の第1相臨床試験が終了し、第2相試験へ進むべく準備が進んでおり、頭頸部がんは第1相臨床試験が進行中であります。また、今後さらにBNCT用加速器の導入が大学ならびに病院に予定されています。このような状況の中、私は、歴代会長が目指してきた基礎研究と臨床研究の融合、ならびに産学連携の方針を継承するとともに、さらにBNCT研究を加速するため、次の3つの課題について特に重点的に取り組み、本学会をいっそう発展させたいと考えています。

 1. BNCT医療関係者の人材育成と情報共有化
 2. オールジャパンによる新規薬剤開発体制の構築
 3. 本学会の国際化

 4年前から進められてきたBNCT医療関係者の教育も、講習会という形でこれまで3回行われてきましたが、学会認定医などを含め今後益々重要となることから、引き続き力を入れ、人材の育成に取り組みたいと思います。また、こうした教育を通して情報の共有化も図る考えであります。

 新規薬剤開発に関しては、BNCTの発展のためにも緊喫な課題です。これまで用いられてきた二剤はいずれも60年ほど前に合成されたものであり、未だに新しいホウ素薬剤は見出されておりません。臨床研究に貢献する薬剤を開発した研究者を讃える「三嶋記念化学賞」が今年より設けられましたが(第1回受賞者:吉野和夫先生)、薬剤開発研究がより一層加速するよう、学会としても特に力を入れたいと思います。そのためにも、基礎研究と臨床研究の融合、ならびに産学連携によるオールジャパン体制で新規薬剤開発と評価法の確立、トランスレーショナルリサーチの構築を各領域の会員の方々と進めたいと思います。

 学会情報誌「NCT Letter」は、今年5月に第1号を創刊することができました。今後会員の情報交換の場としても大いに活用できるよう内容を充実させるとともに、本学会の活動を国際的に広く発信していきたいと思います。そのためにもJSNCT Letter国際版を創刊し、海外へ積極的に情報発信するとともに、学会ホームページに英語版を設置し、世界の研究者のみならず、一般の方々にも日本のBNCTを知っていただく計画です。そして、本学会が世界のBNCTの発展にどのように貢献していけば良いか、会員の皆様と一緒に考えていきたいと思います。

 私自身、何分にも若輩者ではございますが、本学会の発展をめざし責務の遂行に全力を傾注いたしますので、是非会員の皆様には、より一層のご協力ご支援をお願い致します。

2015年10月